ブロックチェーンを活用し、日本の旅行・宿泊業界の課題を解決するパートナーへ

Owlting Japan Inc. カントリーマネージャー  藤園 光英さん

2017年、旅行・宿泊業界向けブロックチェーンホテル管理ソリューション「OwlNest」を発表したOwlting Japan Inc.。本社を置く台湾では、「台湾ミルク地図」「果物地図」といったECサイトの運営や、宿泊施設を利用したお客様にアウトドアレジャーなどのツアーをセットで紹介するオプショナルツアー事業を展開。この度日本に上陸した、ブロックチェーンの技術を使った宿泊管理サービスなども、先に台湾にて導入し成果を上げていました。さらにはアメリカのシカゴ、マレーシアのクアラルンプールに事務所を置き、2018年からはヨーロッパへも進出を予定するなど勢いがある同社。

今回は、まだ立ち上げ初期フェーズであるOwlting Japan Inc.東京支社のマネージャー藤園 光英さんに事業への思い、女性が活躍できる職場環境などについてお話を伺いました。

台湾発。ブロックチェーンを生かしたBtoBソリューション

ーまずは、Owltingの事業について教えてください。

Owltingは台湾に本社を置く企業で、今まで主に3つの事業を展開してきました。一般ユーザー向けには、ECサイトとオプショナルツアー、企業向けにはホテル管理システムである「OwlNestブロックチェーンホテル管理ソリューション」の提供です。

ーブロックチェーンというと仮想通貨などに使われている技術ですよね。それをホテル業界にどう活用していくのでしょうか?

大きな目的は、ホテル運営側における予約システムや残室管理フローの効率化やコストダウンです。ホテルスタッフが手動で行うとダブルブッキングなどのミスがあったり作業時間がかかったりする一方、予約サイトを使用すると手数料が成約時に約10%程度もかかり、コスト的に痛手になるという仕組みでした。そこで、弊社の新サービス「OwlNest」がブロックチェーン技術を用いてこのフェーズを自動化し、より安価でミスが起きないような手助けをするというものです。

さらには、「宿泊と合わせてこんなアクテビティはいかがでしょうか?」と宿泊施設を利用するユーザーに向けてオプショナルツアーを提案することで、ホテルやゲストハウスの売上アップにも貢献することができます。

ー旅行宿泊業界にとってはうれしい仕組みですね。どのようなきっかけで、このサービスをはじめたのでしょうか?

動機となったのは、食品の安全性が問われた「粉ミルク問題」や「食品油に車の油が混入していた問題」などがあったことです。消費者にとって本当に安全な商品がどこにあるかわからないという課題に対し、ブロックチェーンの技術を応用できないか、と。

例えば、台湾で展開しているECサイトでは、どこの牧場で・どんな餌を食べて・いつ出荷されたかなどのデータをすべてブロックチェーンで(専門的に言うと非中央集権的に)管理するシステムを開発し、安全な商品を消費者に届けています。

このECサービスの運用でブロックチェーン技術の実績を作り、今度はBtoBに応用したのが、宿泊管理コストや手間を削減できるソリューションなのです。

ユーザーにも宿泊施設側にもメリットがあるサービス
インバウンド対策や地方創生にも貢献

ーサービスを展開するにあたり、どのようなビジョンはお持ちでしょうか。

今後の展望として、3つのステップを想定しています。

1つ目は、市場の信頼・信用を勝ち取ることです。例えば、既存の予約システムは、ユーザーが旅行のチケットを申し込んだ際に「システム利用費」などの手数料が実は含まれていました。そういったよくわからない項目を透明化し、価格の正当性を訴えます。

2つ目として、ユーザーの趣味嗜好を考慮したサービスの展開です。それは、宿を予約したユーザーがこれまでどこのホテルに行ったか、どんなサービスを受けたかをホテル側は把握した上で、ルームサービスを提供できます。ゲストハウス予約時に、例えばサーフィンが好きな宿泊者同士が近い部屋に泊まれるようにして、コミュニティ作りのお手伝いをしたりとか……。ブロックチェーンを活用すると、そういったことも可能になります。

3つ目は、ユーザーが宿泊施設の空き部屋をリアルタイムで把握できるサービスです。すでにイギリスでは弊社とは別のサービスが試験導入されていて、これからもっと広がると想定されている領域です。スマホで、今空いている部屋を簡単に調べて予約できるようになれば、頻繁に旅をする人や忙しいビジネスパーソンにとっても便利ですよね。

このようにブロックチェーンの技術は、宿泊施設を利用するユーザーにとってのメリットが増えると同時に、宿泊施設側が今まで抱えていた課題に対するソリューションを提供できるのです。さらには、もともと弊社が得意としていたオプショナルツアーを組み合わせられれば、日本におけるインバウンド対策や地方創生にもインパクトを与えることができると確信しています。

テクノロジーの力で利益をあげ、人に還元する

ー事業に込めた思いについてお聞かせください。

テクノロジーを活用することで、人に還元したいです。近年、サービス業のキャスト(スタッフ)がどこか元気がないような気がしているのですが、それは業界の構造によるところも大きいと感じています。

宿泊業は部屋数で収益が決まるため、従業員がどんなに頑張っても報酬としてすぐに還元されない現状があります。さらに既存の宿泊予約システムの手数料が重くのしかかってきて、成約時に約10%が予約サイトの手数料として引かれるとすると、1部屋5,000円で1制約あたり500円、100部屋の制約で5万円です。これはホテルの利益を大幅に減らしています。

私たちは、ブロックチェーンの技術を使うことで宿泊管理コストを下げ、その分をスタッフに報酬として還元してほしいという想いを持っています。これから東京オリンピックに向けてインバウンドが盛り上がって行くはずですが、宿泊施設も売上が上がれば上がるほど利益が削られていくのも良くないですし、お客様を迎えるスタッフの元気がないのはとても悲しいことです。

だからこそ、私たちの提供するソリューションは意義があることだと考えていますし、男女関係なく、会社を作る気持ちを求めています。

ーとても可能性に満ちたサービスですね。そんな中で、日本市場を任されている藤園さん自身が会社に求められていることを教えてください。

事業に関わること、全部ですね(笑)。実は、現在日本法人は私1人で動いているんです。そのため、営業や社内整備などやることがとても多くて……。中でも私自身に課せられている重要なミッションは、「サービスの認知」「人材採用」そして「売上」。まずはサービスを知ってもらう必要があるので、現在は浅草など都内の観光地のゲストハウスを中心に私が訪問しています。そのため、採用は本格的に進めていき、2018年は少なくとも6〜10人の新しい仲間を迎えようと考えています。

ー女性活躍についてはどのようにお考えでしょうか。

男女関係なく活躍してほしいと考えているのですが、日本はどこかしら男女不平等がまだあると思います。年収しかり、立場的にもですね。

台湾の本社では雇用の8割が女性で、どんどん活躍のフィールドを広げているので、日本のスタッフも何かあれば意見を言ってほしいですし、問題を自分ごとに捉えられる人、一緒に会社を作り上げる気持ちのある人と仕事がしたいと思っています。

ー特にどういった方を求めているのでしょうか?

今一番必要だと考えているのは、女性の営業職です。弊社はブロックチェーンの応用など技術面で特徴がある企業ですが、そんな技術の話はクライアント(ホテル)にとっては関係ないため、技術の素晴らしさを説明できるよりも、課題に向き合うパートナーとしての人間性を重視します。ゲストハウスに立ち寄って、オーナーと仲良くコミュニケーションを楽しめる方には向いていると思います。

コミュニケーション能力に秀でた女性営業がいれば、弊社のサービスはもっと広く知られるようになると考えています。

女性だけでなく、全ての社員の生活を考える
リモートワークやワークライフバランスの構築は積極的に

ー立ち上げたばかりの日本拠点を、どういった組織にしていきたいですか?

リモートワークなどといった、働く環境にはこだわりたいですね。

もちろん最初はサービスやシステムを覚えなければいけないので、ある程度は社内で一緒にやっていくことは必要ですが、ゆくゆくはクライアントの宿泊施設がある各都道府県からリモートで働く環境づくりを実現していきたいですね。

また、ライフワークバランスも大切にしてほしいという思いがあるので、残業は基本ナシにしています。本国の社長と副社長もだいたい18時半には帰っていますよ。

ー働きやすい環境の雰囲気づくりをトップが実践しているのは心強いですね。

そうですね。私たちは提供しているサービスが素晴らしいものだと自負しています。現在はテストマーケティングの意味合いでクライアントにシステムを提案しているフェーズですが、導入が進めば、きっと日本の旅行・宿泊業界はもっと良くなるはずです。

時代の最先端をいくビジネスを手がけながら、自分自身の働き方・生き方も良くしていきたいという想いを実現できるような会社にしていきたいですね。