デジタル・ネット時代に必要な、変化を楽しめるマインドを

株式会社 Candee 代表取締役社長 CEO  古岸和樹さん

「新しい時代のカルチャーとスターの創造」を目指している、株式会社Candee。モバイル動画を中心に、設立以来10,000本を超える動画制作、アーティスト、俳優、女優などのタレントマネジメント、『Live Shop!』をはじめとするメディア事業を展開する同社。2017年12月には24.5億円の資金調達を実施し、累計での資金調達額が40.5億円に達しました。

今回は株式会社Candee代表取締役社長 CEOである古岸和樹さんに事業への思い、女性が活躍できる職場環境について、お話を伺いました。

新しい時代のカルチャーとスターを創る

ーまずは、Candeeの事業について教えてください。

インターネットやスマートフォンアプリなどの領域で「メディア」「動画マーケティング支援」「タレントマネジメント」の3事業を全て自社内で行なっています。そのため、TV局や広告代理店、芸能事務所をひとまとめにしたような動画制作・番組制作・キャスティング・PR までをワンストップで実現できることが強みですね。

また、2017年6月にはソーシャルライブコマース『Live Shop!』をローンチしました。それに伴うプライベートブランドの提供にも取り組み、新たなビジネスモデルを構築中です。

誰かがマーケットを作らなければいけない

ーCandeeのビジョンはどのようなものでしょうか。

デジタルメディアの発展のためには、誰かがマーケットを作らなければいけません。そうしなければ業界の成長は止まってしまいます。「誰かが」と待っていたらいつになるか分からない。であれば、自分たちで切り開いていこう、そう思っています。

会社を創業してから1〜2年は、FacebookやLINE、YouTubeなど既存プラットフォームへ、動画コンテンツの提供やライブ配信を行なってきました。PR動画や分散型メディアへのコンテンツ提供はどうしても労働集約型のビジネスモデルになってしまうので、自分たちで「スマホファースト」「インタラクティブ」「ソーシャル」を特徴としたソーシャルビデオプラットフォーム構想を掲げました。その第一弾として、ローンチしたのがソーシャルライブコマース『Live Shop!』です。2018年度中に『Live Shop!』をグロースさせますが、スポーツや音楽、ニュースなど様々なカテゴリでソーシャルビデオ革命を起こしていく予定です。

タレントマネジメント事業では、まだ世の中に数多くは存在していない「デジタル領域で活躍できる人気者」の発掘や育成を目指しています。

ー人気者とはどういった人たちですか?

今でいうデジタル領域での人気者は、例えばYouTuber。彼らのようなインフルエンサーはプラットフォームに関係なく影響力をもっています。TVタレントだろうがYouTuberだろうが、人気者は人気者なのだと。

デジタル・ネット時代の新しい文化やスター(人気者)を創る事が私たちの使命だと考えています。

ーなるほど。事業に込めた思いについてお聞かせください。

創業当時から「TVの再発明」をしたいという思いがあります。テクノロジーやデバイスの進化に伴い、メディアの時代は移り変わってきました。最初に映画の時代、そしてTVの時代ときて、今はデジタル・ネットの時代がやってきています。長らく続いているTVの時代はこれからも続くと思いますが、形態は確実に変わると思います

映画の時代では、映画に適したコンテンツフォーマットがありました。しかし、それはTVには移植されず、TVならではのフォーマットが誕生することになります。例えばスポーツの実況、ニュース中継、バラエティ番組など。これらは映画には存在しません。このフォーマットの中から独自の文化が作られ、人気者やスターが輩出されました。デジタル・ネットの時代へと移ろうとしていますが、まだ確固たる形がネットメディアにはありません。それを作っていこうという想いで、私たちの会社は事業を進めているのです。

TVが成功した事業構造を自社でワンストップで実現したい。それが、「メディア」「動画マーケティング支援」「タレントマネジメント」の3事業です。自分たちのメディアを持ち、メディアに流すコンテンツを作り、そこに出演する人もいる。それらを兼ね備えた会社は日本には他にありません。

女性の意見をもとに作られるデジタル配信コンテンツ

ー女性活躍についてはどのようにお考えでしょうか。

私たちの事業には、女性の活躍や感性が必要不可欠です。『Live Shop!』はファッションやコスメ領域でスタートしました。インフルエンサーが流行りのアイテムやコスメをライブ配信で紹介し、それを見ている視聴者は、リアルタイムで商品を買うことができます。視聴者層は、18〜24歳の女性。いわゆる F1層の女性たちです。その女性たちと同じ目線で配信内容を考えないと、商品は売れません。一方私たちは、彼女達から見たら”おじさん世代”です(笑)。やはり、我々だけで考えるのには限界があるなと。

一般的に、男性はスペック重視で商品を購入しますが、女性はフィーリング重視で買うと言われています。「この女の子が着ているかわいい服を着たら、私もかわいくなれるかもしれない」……そういった憧れが購入のモチベーションにつながるのです。彼女達に、おじさん目線でロジカルに機能を説明しても商品は売れないんですよね。

そこで私たちは、女性メンバーの力を最大限生かせる環境づくりをしています。例えば、制作スタッフが企画したコンテンツ内容に対して、インターンシップで働いている女子大学生に意見をもらっています。正直な意見や改善案をもらって、女性目線のコンテンツ作りに磨きをかけています。制作スタッフにもたくさんの女性が働いており、コンテンツ企画やビジネス領域をどんどん動かしています。

私たち経営陣は、働きやすく、社員がやりたいことを実現できる環境を作り、会社や事業を盛り上げていきたいですね。失敗は許しますよ。ミスをしたらリカバリーすればいいんですから。

もともと私たちは「まずはやってみよう」というマインドを持っています。失敗を許す環境が、変化に対応できる会社を作っているのだと思います。

ー仕事をする上で、古岸さんが大切にしていることはなんですか?

先ほどと少しかぶりますが、変化を楽しめるマインドです。私たちの会社は常に変化し続けています。当初掲げていたタスクやミッションは、日々変わります。それは私たちがブレているわけではなく、マーケットが常に早いスピードで変化しているからです。それにもかかわらず、「俺らの会社はこの領域だ!」と元々の場所にこだわっても、今の市場では負けます。常にアジャストしていかなければなりません。だから経営方針も業務内容も柔軟に変えていくのです。

ー具体的にはどういった変化が社内であるのでしょうか?

『Live Shop!』は大きな変化の一例ですね。中国で、女性が1時間で数億円もの金額をライブコマースで売り上げたという事例を知り、2017年の2月頃に、ソーシャルビデオプラットフォームの中でもまずはファッション領域のライブコマースから始めようと舵を切りました。しかし、中国のフォーマットをそのまま日本に持ってきても上手くいかないだろうなと。日本人にあう様にアレンジしようと話し合われたのが3月。そして実際にローンチしたのが6月です。

Candeeは、TV局や広告代理店といったエンタメジャンルのバックボーンをもった人材が多かったので、音楽ライブやバラエティ色が強いコンテンツ作りに強みを発揮していました。それを『Live Shop!』ではガラッと変え、ファッションとコスメ領域が中心になったのです。もちろん、「うちの会社って誰がファッションわかるんだっけ?」と社内では話し合われました(笑)。『Live Shop!』を始めてから色んな課題がでてきましたし、その都度トライ&エラーで様々なフォーマットを試し、現在に至ります。

2017年11月にはライブコマースの特徴をいかしたビジネスモデルとして、プライベートブランド「TRNUC 88」を立ち上げました。今後も、ライブコマースの特徴を活かし可能性を広げていく予定です。

仕事に線引きをせず、変化を楽しもう

ー最後に、働く女性に対するメッセージをお願いします

デジタル・ネット時代の業界は、他に類を見ないビジネス領域だと思います。常にマーケットは変化をしつづけ、新しいサービスが次々に生まれていきます。そういった環境では「私はここの場所!」と作業領域に線引きをする人より、ゼネラリストのような、変化に対応できる人材が向いていると思います。

そして、次々とサービスを生み出すということは、アウトプットを常に求められるということです。しかし自分では革新的だと感じるアイデアも、フタを開けると既存のものと大差がないことが往々にしてあります。それを避けるためには、アウトプット以上にインプットをしていかなければならないのです。一切の連絡手段を絶ち部屋で読書をする、数日休暇を取って国内を放浪する、そんな業務から離れた時間の方が質の高いインプットができます。

常に変わる環境を楽しみ、質の高いインプットを続けられる人。そのような人がこれからのデジタル・ネット時代のビジネスシーンに求められる人材だと思っていますので、変化を恐れずにチャレンジし続けてください。