女性ならではの感性を活かして、ファッション業界を盛り上げてほしい

ログズ株式会社  代表取締役 CEO 武田悠太さん、執行役員 CSO 下田健太郎さん

老舗問屋「丸太屋」の100%子会社として、2016年に設立されたログズ株式会社。服飾雑貨の企画デザイン・海外生産(OEM/ODM)以外にも、ファッションクリエイター向けシェアオフィス「co-lab日本橋横山町」の運営をおこなうなど、ファッション業界やクリエイターを支援する事業を数多く展開しています。

代表取締役 CEOの武田さんと、執行役員 CSOの下田さんに会社設立までのストーリーと事業への想い、ファッション業界で活躍する女性についてのお話を伺いました。

“問屋”として、これからのファッション業界で勝ち残るためにできることを考える

ーまずは、ログズ株式会社設立の経緯と事業内容について教えてください

武田:ログズ株式会社の前身は、「ニューカネノ」という老舗の問屋です。私はアクセンチュア株式会社に勤めていましたが、30歳を機に家業である丸太屋株式会社に入社し、当時、経営再建中であったニューカネノを買収し、黒字化させた後、2016年にログズ株式会社としました。

弊社は、バッグや帽子などのファッション雑貨に特化したOEM事業と、ファッションデザイナー向けのシェアオフィス「co-lab日本橋横山町」の運営、そして、キャップブランド「NEWHATTAN」の日本法人運営などをおこなっています。

ーどのような想いで設立されたのですか?

武田:もともと家業が問屋だったので、「問屋には何ができるのか?」といつも考えていたんです。中間業者が機能していないのに、プラットフォーマーだけがどんどん伸びているんですよね。そんな流通の変化を目の当たりにして、「流通が問題なのではなく、そこに付加価値がないことが課題なんだ」という事に気付きました。

今、ファッション業界は資本主義経済のど真ん中にいます。高価格帯マーケットでは、有名なラグジュアリーブランドでさえ買収され業界再編が行われています。一方で、低中価格帯マーケットでは、ファストファッションがどんどんと伸びてきて、SPAが高品質でデザイン性に優れたものを低価格で提供していて、本来、ファッションの多様性を創り出してきたブランドやお店は元気を失ってしまいました。「自分たちがプラットフォームになって日本のファッションに多様な選択肢を創り出そう」という強い想いをもって設立しました。

ーなるほど。事業についてもう少し詳しくお伺いできますか?

武田:いろいろと検討したなかで、常々必要性を感じていたシェアオフィスやOEMのショールームをつくることにしました。我々が運営するシェアオフィス「co-lab日本橋横山町」には、俳優の伊勢谷友介さんがやっている「REBIRTH PROJECT」のトレーディング部門が入っていたり、世界的に注目されている「ここのがっこう」というファッションデザイン教室が入っていたりと、最近話題になっている事業者の方々に入居していただいています。

また、弊社が日本法人を運営している、2005年にニューヨークで生まれたキャップブランド「NEWHATTAN」では、主力商品のベースボールキャップが、一昨年から今年にかけての2年間で100万個売れる大ヒット商品となりました。

下田:私たちはもともと問屋なので商品を売っていることには変わりはないんですが、商品情報の共有だけでなく、売り場に対する提案など、取引先の問題解決を視野に入れた幅広いサービスを心がけています。「問屋であっても、ただの物売りではない」という気持ちでソリューションセールスを提供することで、取引先からも「他のメーカーとは違う」と評価していただき、1年前に始めたOEM事業では、ビームスやユナイテッド・アローズをはじめとして、ほとんどすべての大手ブランドとのお取引をさせていただいております。

「ただの物売り」にはなりたくない――“商品”とその“価値”を提供できる会社でありたい

ー会社を運営していく上で、大切にされている想いなどはありますか?

武田:「クライアントファースト」ですね。先ほどの下田の話にもあったように、弊社は「物売り」ではなく、ソリューションを提供するアパレル企業でありたいんです。

商品に対する愛着やこだわりが強くなればなるほど、その価値を理解して欲しいという気持ちも強くなりますよね。そんなとき、「価値が分からない人は買わなくていい」と突っぱねてしまう人もいます。そのやり方でやっていけるブランドもあるんですが、弊社としては商品の良さだけでなく、その“価値”についても伝えていきたいと考えているんです。より多くのお客様に手にとっていただき、気に入ってもらえるように、「クライアントファースト」の意識を忘れずに進んでいきたいですね。

下田:今は商品が良いだけでは売れない時代なんです。だから、消費者や取引先を含むクライアントの悩みを解決できるような“ものづくり”や提案をしていく必要があると思います。商品の魅力だけで勝負するよりも、クライアントの困っていることに対して、どんな付加価値を付けて商品を売るかという、「商品 +α」という考えが大切だと思いますね。

ー今後の事業展開はどのように考えていますか?

武田:現在、いろいろなプロジェクトが少しずつ進行中です。そのなかの1つに、デザイナーやバイヤーの欲しい機能や情報を集めたファッション・ライブラリー「010」の設立プロジェクトがあります。弊社のビルを丸ごと使って、世界中の製品サンプルを集め、生地やチャックなどの素材や、ファッションに関する書籍などを置いて、デザイナーやバイヤーのインスピレーションを掻き立てる場所を作るとともに、自由に使えるイベントスペースやシューティングスペースを設けたりしようと思っています。

また、アパレル業界に閉じず、弊社はホテル運営も手掛けおり、現在、ビジネスホテルの大規模リノベーションプロジェクトも進行中です。ホテル・ビジネスは一見、弊社の既存ビジネスとは畑が違うように思われるかもしれませんが、弊社の場合、どちらの事業もファッションを中心としたクリエイターをターゲット顧客にしていて、ホテルについても、クリエイターがインスピレーションを得られる場とそれを表現できる場が同居したものにしようと考えています。名前はまだ出せないですが、ホテルの設計・デザインはもちろん、ファッション業界、アメニティ業界、フード業界のトップ・クリエイターとコラボレーションして事業を進めています。

弊社はこれから第二創成期。「クライアントファースト」を念頭に、「これだけは誰にも負けない」と胸を張っていえるような事業ができるように、チーム一丸となって努力していきたいと思っています。

自分のバックグラウンドも武器にしてファッション業界で活躍してほしい

ー御社での女性活躍や、そのための制度・環境について教えてください。

武田:女性のファッションにかける情熱や服を買うときのモチベーションを、私たち男性はなかなか理解できないんですよ。だからこそ、やはりファッション業界に女性の力は不可欠ですよね。

会社としては、なるべく多様性を認める環境にしたいと考えていて、様々なバックグラウンドを持った人を集めています。また、副業も許可して、他業種・他業界での経験を自社で活かせるようにしているんです。勤務日数や勤務時間の相談はもちろん、育児中の社員の有給調整についてもできるだけ柔軟に対応していますね。

ファッション業界はどうしても同じ価値観の人間を集めたがる傾向があるんですが、OEM企業として一つの価値観に縛られることはかなりリスクの高いことなんです。価値観が同じということは、同じ方向しか見ていないということ……。良い時は良いですが、良くない時には何も見えないこともあると思います。だからこそ、弊社は性別だけでなく、それ以外の面でも多様性を重要視しているんです。

下田:弊社には週2日勤務で契約社員として働いている女性もいます。でも、働き方の柔軟さを認める代わりに、しっかりと成果をアウトプットしてくれることを求めています。彼女も週に2日しか勤務していませんが、それ相応のバリューを生み出す働きをしてくれていますね。

ーかなりフレキシブルなんですね。最後に、働く女性へのメッセージをお願いします

下田:弊社には女性の営業がいません。女性営業がいてくれたらもっと売れるのにと常に感じています。男性の場合は商品の価値やサービスに力をいれた営業をすることが多いのですが、女性はもっと感性豊かな営業をする人が多いイメージがあります。

ファッションマーケットの7割以上がレディースで構成されるためか、バイヤーの7割以上が女性なんです。商品がどれほど優れているか、どんなにローコストかといった部分だけでなく、相手と同じ感覚と目線で「これ可愛いよね!」といって営業できた方が絶対に相手に響くと思います。
だからこそ、いろいろなバックグラウンドを持つ女性に弊社で営業として活躍してもらいたいと心から思いますね。

武田::ファッション業界は、女性が、女性のために、女性のものを売るいわば、“女性の世界”です。
ファッション業界に限らず、女性にしかできない仕事はたくさんあります。本人は自分の経歴や環境に引け目を感じているかもしれませんが、その経験を「面白い!」と言って受け入れるような企業もあるんです。是非、そういう弊社のような企業で働くことを検討してほしいですね。