多様性を認め、尊重することで社会や人をイキイキさせていきたい

ユナイトアンドグロウ株式会社 代表取締役社長  須田騎一朗さん

「日本の99%(法人数)、70%(雇用者数)を占める中小企業を助けたい。そこで働く人を元気にしたい。」という「志」のもと、2005年に創業したユナイトアンドグロウ株式会社。
多くの中小企業が抱える課題を解決するために、“シェアード社員”という情報システム部門のタイムシェアサービスを行っています。中小企業の発展に貢献し続けるユナイトアンドグロウ株式会社の起業ストーリーとその想い、そして現代の女性活躍について、代表取締役社長の須田さんにお話を伺いました。

中小企業の支援をすることで、日本全体を元気にしたい

ーユナイトアンドグロウの事業内容について教えてください
当社は“シェアード社員”を50~1000名規模の中堅・中小企業の情報システム部門に提供する事業を行っています。シェアード社員とは、複数の企業でシェアされる弊社社員の呼称で、クライアントの社員の方々と同じように自発的で柔軟な仕事の進め方ができるのが一般的な派遣社員との違いです。

ーどのような想いから起業されたのでしょうか?
「世の中に貢献できて、楽しいと思えることをしたい」と考えたのが発端です。でも、ただ楽しいだけではワクワクできないので、難易度が高くてやりがいのあることをしたいとも思っていました。

中小企業向けのサービスにしようと思った理由は、規模の大きい大企業よりも中小企業は全体が見えるので困っていることがわかりやすく、喜んでもらえているかどうかも判断しやすいからです。それが手応えや、やりがいにつながっていくと考えました。

そして、法人数の99%、雇用の70%を創出しているのは中小企業なんですよね。大企業が成功しているのも、元はといえばその下でたくさんの中小企業が頑張っているから。つまり、中小企業が元気になれば、日本全体も元気になって、それが社会貢献につながるんじゃないかと思いました。

また、前職で同じように中小企業に向けたITの課題を解決するサービスの立ち上げを試みたことがあったんですが、当時はビジネスとしての採算が合わず、サービスは私の判断でクローズしました。この時わかったことは、ITの中でも情報システム部門に課題を抱える中小企業が多いという事実でした。その経験から、情報システム部門に着目したんです。

それに、私は人が好きなので、たくさんの人に関わることのできる、雇用を生み出せるような事業がしたいと思い、ユナイトアンドグロウを立ち上げました。

「従業員あってこその会社」という哲学

ー難しいテーマでのチャレンジ、事業進捗はいかがでしたか?
最初の5年はずっと赤字でしたね。でも、一度失敗したビジネスなので、難易度が高いことも、成功するまでには一定の時間が必要で長期戦になるということもわかっていました。それに、中小企業がITで困っているのは明白でしたから、自分たちの方向性を疑うことなく、諦めずにやり続けてサービスを磨いていきました。

そして、金額的には500万円くらいでしたが、6年目の年末にやっと黒字となり、社員全員で大喜びしてお祝いしました。その時点では、まだ成功とまではいえませんでしたが、「事業として成り立つ」ということが、数字で証明されたのです。やはり、私たちがやってきたことは間違いではなかったと確信しました。

クライアントからも「御社のおかげで本当に助かっています」というありがたい言葉をかけていただけるようになりました。こんな風に言ってもらえるのは、クライアントにしっかり貢献できている証拠だと思うので本当に嬉しいですよね。

ー仕事をする上で、須田さんが大切にしている哲学のようなものはありますか?
19世紀半ばころまであった東インド会社をご存じですか?船を一艘提供して、途中で沈没してしまったら何も得られないけど、うまく他国にたどり着いて金や香辛料を仕入れて、沈没せずに戻ってきたら大儲けできる。ただ、船は高額だから何十人、何百人でお金を出し合ったり、ひとつの船だけでなく、いくつかの船に分散投資をしたりするんですね。そのやり方が現代の株主と通じるものがあるといわれているんですが、その航海が成功して得をするのは株主だけで、従業員である船の乗組員は、命の危険にさらされて身体を張って働いているのに、成功しても失敗しても同じ報酬なんです。東インド会社は、まさに株主のために存在する、株主の所有物だったといえます。

現代の中小企業にも同じように株主の所有物であるという一面はもちろんありますが、それだけでなく、社会の所有物であり、従業員の所有物でもあって、さらにクライアントの所有物でもあると思うんです。だから、そのバランスをとるのが一番大事だと思うんですけど、どれかひとつだけを選びなさいといわれたら、私は従業員を選びます。優秀な従業員がいてくれるからこそ、株主やクライアント、そして社会にも貢献することができるんです。

だから、「従業員あっての会社」ということを忘れないで常に意識するようにしています。

女性だけでなく、どんな人も素直に主張できる環境を目指し、
評価と待遇を透明化することで社員たちをイキイキさせる

ー女性の活躍推進について、どのような考えをお持ちでしょうか?
女性の活躍の場が増えることはとても良いことだと思います。昔はほとんどの会社で長時間労働が前提となっていて、ライフイベントなどで時間に制約のある人が働ける環境は少なかったですよね。でも、最近になって“働き方”にも変化がではじめて、そういう人も働ける場が増えていると感じます。女性だけでなく、多様な人たちが働けるようにダイバーシティに取り組む会社こそが、これからの時代は成功していくのではないでしょうか。

ユナイトアンドグロウでも以前、女性社員の活躍が中小企業のダイバーシティ支援につながったという事例がありました。シェアード社員として女性社員が担当したクライアントから、「女性がいることで、社内が活性化する」とご評価いただいたのです。

一般的には男性よりも女性の方がコミュニケーション能力に長けた人が多いといわれています。中小企業は男性比率の高いケースが多く、当然、情報システム部門も男性が担当するケースが多くなるんですが、情報システム部門は想像以上にコミュニケーションが頻繁に発生する部署なんです。だから、実は女性社員と情報システム部門という組み合わせはとても相性がよかったんですよ。

他のクライアントからも同じ評価をいただくようになってきたので、このような形でダイバーシティの普及に貢献することもできるんだなと思いましたね。

ー女性にとって働きやすい環境づくりという意味で、具体的に取り組まれていることはありますか?
現時点では、女性に限定した取組みは行っていません。男性でも女性でも、外国人やハンディキャップのある人でも、みんなが「安心して働ける」「ワクワクして楽しく働ける」という環境を作りたいと考えています。男女という分かりやすい部分だけにフォーカスした施策にならないように、目に見えないコンプレックスや人に言えない事情なども考慮するように心掛けています。

また、現在、働きやすい環境づくりとして力を入れているのは評価制度です。これまでの経験から、中小企業の情報システム部門で必要とされる能力を16段階の「スキルレベル」で定義し、数値化した基準を作りました。それを見れば、社員は自分が今どのレベルなのかを知ることができるようになり、スキルレベルを上げるために何が必要なのかが、よりクリアになりました。

弊社は「社員定着率」や「女性社員率」など、比率のみに注目して数値を改善するような取り組みは特におこなっていませんが、2010年に16%だった女性社員率は、2017年に35%まで上がりました。社員に働いてもらう上で大切なことは「良い人間関係」と「感じたことを発言できて、尊重してもらえる環境」だと私は考えています。一人ひとりの考えや事情を理解して、尊重することこそが、みんながイキイキと働ける会社を作るための方法だと思うのです。

ースキルレベルが明確に可視化されているのは個々人の成長観点でもいいですね
基準はまだ完璧ではありません。今後もブラッシュアップし、本人の持っている能力や経験値を少しずつ上げていけるようなものにしていきたいですね。着実にスキルアップできて、男女関係なく、国籍も関係なく、ハンディキャップの有無も関係ない一切差別がない評価制度を作りたいと思っています。

環境が整ってきているからこそ、ありきたりな仕事ではなくチャレンジを選んでほしい

ーキャリア女性に対するメッセージをお願いします
キャリア女性の中には安定した人気のある職業に就きたいという人も多いと思います。でも、人気があるということはライバルも多いということ。ライフイベントの影響で一時的に働けなくなったとして、人気のある職業では、復帰して元の立場に戻ることは難しいのではないでしょうか。

だから、40代、50代になっても前線で働きたいというのであれば、まだ知っている人の少ない新しい職業に目を向けた方がいいと思うんです。新しい職業というのは、知られていくにつれて、どんどん価値が上がっていくもの。いち早く経験値を積むことで、自分の希少価値も有利に上げていくことが可能です。

個人的に中小企業の情報システム部門の担当者というポジションは、まだ職業として確立できていない部分があると感じています。だから、開発の前線で活躍しているような人たちはほとんど来てくれないし、まだそれほど人気もありません。そういった職業にこそ、大きなチャンスがあるんです。

当社でシステム担当として活躍しているメンバーには未経験からはじめた社員も多いので、これからどんどん成長して自分の希少価値を上げていってほしいですね。