業務プロセスの見直しが女性の働く質を向上させる糸口となる

株式会社アクセライズ 執行役員  飯嶋真美さん

製薬系専門職の派遣業、受託業等を行う株式会社アクセライズは、同分野に取り組む企業の中で、初めて「ダイバーシティ推進室」を、日本に設置した企業です。
社会が女性活躍推進に目を向ける前から、アクセライズは良質な福利厚生と理念の徹底により女性が生き生きと働ける環境作りに取り組んできました。今回は執行役員としてダイバーシティ推進室の責任者を務める飯嶋真美さんに、女性活躍推進についてお話を伺いました。

社員のキャリアパスのために、新規事業を開発する

-アクセライズの事業について教えてください。
アクセライズは2004年よりCRA派遣業、CRO事業、CSO事業、人材コンサルティング業を行っています。クライアントは製薬メーカーを中心に、消費財業界など多岐にわたり、外資系企業をパートナーにしたエグゼクティブサーチも新たにスタートしました。CSO事業では、女性MRの採用、採用後の働き方を含めた人員配置アドバイザリーなど、既存のCSOの枠をこえた幅広いニーズに対応しています。
また、社員の働き方の枠を広げるために、今年から受託型の臨床試験事業をスタートしました。もともと、その事業を作ってから社員を募集するという会社主体ではなく、社員のキャリアパスを考えた先に、新たな事業を開発していくという、社員重視の会社のスタンスは非常に魅力的だと思っているので、私も現在その拡大に尽力しています。

-アクセライズに入社して、共感したビジョンについて伺いたいと思います。
私は、当社の「いわゆる常識的な働き方から、一歩抜け出すことができる」という点に強い共感を覚えました。アクセライズは、会社をキャリアアップの場として捉えているんです。この会社で何かを得て次のステップに行くことも可能ですし、会社の中でまた違う職種に転向していくのも自由。部署の垣根を越えて自分から自由に動くことができます。私がこれまで在籍していた会社と比べても、一人一人が目標や明確なビジョンをしっかり持っている印象があります。「会社の中で自身のポジションを守っていければそれでいい」という考え方ではなく、自分がどうなりたいかということをはっきり実現している社員が多いことは非常に魅力的だと感じています。

-事業に込めた思いについて教えてください。

私たちの事業には、メインクライアントである製薬メーカーと同様に、外資系企業が多く、規模の大きい会社が多いです。私も前職はその中の1社に在籍していました。
そういう業界特性の中で、アクセライズの在り方を確立させていきたいと考えています。今、私たちの業界は、ダイバーシティの観点だけでなく、AIや地域包括、またジェネリック医薬品への考え方など、変化が加速しています。完成形ではない、この規模でなければできないことはたくさんあると感じており、日系企業、かつベンチャーであるメリットを確立させ、社内外に発信していくことは、私の大きなミッションの一つだと考えています。

会社としては、もちろん事業拡大を考えていますが、ただ規模を大きくするだけでは無意味であるとも感じています。利益を追求するだけでなく、アクセライズにしかできない事業開発を目指していく中で、アクセライズを成長の場を捉えてくれるメンバーと共に成長していきたいんです。アクセライズにはもともと女性社員が多く、育休と産休の復帰率が100%を維持していて、厚生労働省が女性活躍に力を入れて動き始める前からスタンスは変わっていません。復帰してきた社員も、必ず会社に対して貢献をする人材が集まっていると感じています。会社と社員の両者が正しく制度の認識をしていないと、組織運営が上手くいかない事例を、私自身前職で経験し、また、他社の人事の方とも共有しているので、アクセライズ社内で培われている意識の高い在り方を、きちんと組織化して、対外的にも発信していきたいですね。

活躍する女性の数ではなく、女性の働き方の質の向上をターゲットに

-女性活躍に対する思いについてお聞かせください

女性活躍推進に関して、業界を問わずさまざまな企業のトップや人事の方々が努力されてきた恩恵を受け、私の世代では、働く女性の人数は増加傾向にあります。次の段階として、三十代以降の女性が子育てをしながらキャリアアップする環境を整え、本人たちもモチベーションを高く維持できる風土の醸成など、質の向上にターゲットを移す必要性があると実感しています。アクセライズでは、製薬系専門職の社員はもちろん、マネジメント職で活躍する女性社員が多数おります。2017年には女性の役員と事業部長がそれぞれ誕生しており、管理職登用にあたっての男女の差は全くありません。また、これは男女問わずですが、定年制度がないんです。

長く働けるという環境は整っていますが、その分、社員としては長くキャリアを築くために、仕事への集中力を維持する必要性を感じています。女性には「社会人として」の自分以外にも、様々な役割があり、そこには責任があります。さらに自分の仕事を確立していけば、その責任は重くなっていきます。特にアクセライズに来て感じたのですが、人生という長い時間軸の中で、仕事へのバランスをきちんととれている社員が多いな、と思います。

女性社員のつながりが生むパワーのきっかけになり、それを最大化したい

-飯嶋さんの仕事の哲学はどのようなものでしょうか。

男性がタテ社会であるのに対し、女性はヨコのつながりを大切にする習性があるといわれています。私は、そのヨコのつながりによって生まれるパワーのきっかけであり、それを最大化させる存在でありたいと思っています。
最終的なゴールは決めていても、いきなり大きな改革をするのではなく、小さな部分から制度を整えていくことで、全体のプロセスを改善するようなやり方を目指しています。

アクセライズでは会社全体を通して「女性だから」もしくは「男性だから」といったくくりが一切ありません。しかし、当社のクライアントが多く存在する製薬系企業を見てみると、本来「ダイバーシティ」は、女性の活躍のみを示す言葉ではありませんが、そこにのみ着目する必要があるほど、業界全体が、進んでいるとは言えない状況です。私が、ダイバーシティ推進室を創設したのも、そういった業界の中では稀有な存在のアクセライズが、ダイバーシティの概念を加速させる存在でありたいと強く考えたからです。ダイバーシティが実現すれば「どんな人でも受け入れることができる」ということの反面、受け入れられるからには、組織への貢献をすることが必要です。その繰り返しで、多様な視点が生まれ、真の意味でのダイバーシティを実現した組織につながっていくと考えています。

私は前職にて、4年間で製薬系専門職680名の社員の採用をしました。当時、それらの職種で女性はまだ非常に少なく、それでも、女性採用にはかなり力を入れていました。しかし、採用することだけを考え、入った社員を会社に根付かせるということを、会社として意識していなかったという反省があったんです。その渦中の時から、その反省をどう活かすか、どのようにすれば改善できるかという案を常に考え、分析し、自分なりにある程度の答えはもっていました。ただ、保守的な業界の中でどう実現しようか模索していました。それが、アクセライズに出会ったとき、会社の風土や取り組みを聞いて「ここでならできる」と確信しました。女性が働きづらいと感じる原因を探っていると、男性にとっても、「必要とは思えない業務がある」という点が明らかになりました。その部分を細分化して棚卸し、業務の無駄を省きプロセスを改善することによって、男女関係なく社員が納得して業務に打ち込めるようになるのではないかと。そういう視点から、組織、業務の改善をすることも、ダイバーシティ推進室の存在意義だと感じています。

自分は「こう」、という枠をはずしませんか?

-キャリア女性に対するメッセージ

私自身も既婚者で、執行役員というポジションに就いています。私は、非常に珍しいと思いますが、ここに至るまで自分が女であることや既婚者であることが原因で働きづらいと思ったことがないんです。
自分なりに分析するに、こうすべき、という固定概念をもっていなかったことが、良かったのではないかと思っています。もともと、会社員ではない、私とは全く違うスタンスで働く友人が多く、さらに、結婚して一度職場を離れ、専業主婦をした経験から、どちらかというと一歩引いたところから仕事に対する姿勢を分析することができていました。「女性だから」というよりも「業務は職種ごとで見る」という点に早い段階からフォーカスしていた気がします。

ある人がこういう動き方をすると、チームがこうなるんだ、とか、あのポジションが変わると全体がこう変わるんだ、など、自分のシミュレーションと、その事実の結果の答え合わせを自分の中で繰り返していきました。
職種としてどうあるべきかを求めていくと、性差や働く場所や国籍の問題ではなく、最終的に「誰もが納得感をもった働き方ができる」ことが必要だと考えるようになりました。
だからこそ、働きづらいと考えている女性には、何も諦める必要はないんだよ、と強く主張したいです。

長く働いていくためには、バランス感覚をもって、集中力を切らさない働き方も必要です。やりたいことを見つけたら、プライベートも含めたトータルな時間管理のもとに、そのプロセスを自分の手で作ってみてほしいと思います。時間や役割そして責任の配分を自分で決めることは、自身にとって負担である反面、それができれば、とても大きな楽しみの一つになります。その行動が、皆さんの未来を切り開いていくと思います。