女性のキャリアは確立していない。皆さん自身がロールモデルになる「志」を

株式会社BNGパートナーズ 代表取締役社長  藤田健太郎さん

ベンチャー企業向けにコンサルティングとヘッドハンティングのサービスを提供するBNGパートナーズは、社員の半数以上が女性で、管理職として活躍する女性社員も多いといいます。キャリアコンサルタントという立場から働く女性の支援も行ってきたBNGパートナーズの代表取締役社長・藤田健太郎さんに、女性が活躍するための組織作りの工夫や仕事哲学を聞きました。

志あるチャレンジャーを応援し、日本を元気にしたい

ーまず、BNGパートナーズの事業内容やビジョンについて教えてください。

BNGパートナーズは現会長の蔵元二郎が2009年に創業した、主にベンチャー企業向けにコンサルティングとヘッドハンティングのサービスを提供している会社です。社名にある「BNG」は、当社の理念である「馬鹿が日本を元気にする」をそのまま取ったものです。

「馬鹿」というと一般的には聞こえが悪いですが、私たちはこれを褒め言葉として使っています。例えば、トーマス・エジソンが何千回もフィラメントをつないでいた様子は、端から見れば同じことをただ繰り返しているだけとしか映らなかったでしょう。何かを成し遂げる人というのはこのように、失敗を恐れずに一つのことに突き進んだ人なのです。

ですから「馬鹿」という言葉は、言い換えるならプロフェッショナルなチャレンジャーであるということができます。私たちは、人生を懸けてでも成し遂げたい「志」を持ったプロフェッショナルなチャレンジャーを増やしていきたいと考えているのです。

こうした志を持った人というのは、単に頭の中で考えているだけでなく、必ず何らかの行動を起こしているもの。その典型が起業家です。私たちがベンチャー企業を事業の対象に据えているのはそのためで、まずは彼らの志実現のお手伝いをすることで、日本を元気にしていきたいというのが私たちの思いです。

ー藤田さんがBNGパートナーズに入社し、代表取締役社長になられた経緯についても教えてください。

私は大学3年だった2011年にジョインし、営業、コンサルティング、人事などの業務を経験した後、2016年3月に25歳で社長に就任しました。そもそもなぜこの会社に入ったのかと言えば、やはり理念に深く共感したからというのが大きいと思います。

学生時代にオーストラリアへ留学に行く機会があったのですが、そこで私は、同年代の欧米人が持つ思いの強さに圧倒されることになりました。彼らは中高時代から徹底して自己分析を行っていて、自分が将来何をやりたくて、そのために何が必要なのかを考え抜いている。だからインターンをするにしても留学するにしても、目的が明確なのです。

一方ではアジアの後進国の人たちも、自分が働くことで家族みんなを幸せにするという大きな志を持って日本へやってきます。そうしたことを目の当たりにした時に、翻って自分は、ひいては日本人は大丈夫なのだろうかという思いが強くなっていきました。

日本を元気にしたい--。そう考えて、帰国当初は政治家を志したのですが、しばらくして起業という別のやり方もあるということを知りました。そうして様々な起業家の方とお会いする中で出会ったのが、現会長の蔵元だったのです。

当時のBNGは社員4人、インターン生4人の若い会社でしたが、まだ整っていない組織を自分の力で仕組み化していけるというのも、私にとっては魅力的な環境に映りました。

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時間ではなく成果で測る。その徹底が女性の働きやすさを応援する

ー御社は女性社員の比率が非常に高いと聞きます。女性が活躍できている要因はどこにあると思いますか?

確かに、約30人いる社員の半数以上が女性で、その中には部長以上の幹部もいます。しかし正直に言えば、男性だから、女性だからという考えは一切持っておりません。というのも、仕事をする上での男性と女性の違いは、単純にそれまでに積み上げてきた経験による違いでしかないと考えているからです。

例えば、現代社会においては女性の方がライフステージの変化が明確なので、ゴールを設定する能力が男性と比べて高いと感じます。けれども、男性であっても常にゴールを意識して行動してきた人であれば、当然そういう能力が伸びていきますし、女性であっても次々に決断するような人生を送ってきた人であれば、然るべき能力が育っているはずです。

では、実際に私たちがどういう経験値を重視しているかと言えば、それは自ら決断し、チャレンジしてきたかどうかという点です。弊社で部長やリーダーといったポジションで活躍している女性は皆、決断を積み重ねてきた人たちといえます。

例えば、経営推進室の部長職の40代女性は、エンジニアとして働いていた会社で在宅勤務の仕組みづくりを提案したものの受け入れられず、それならばと在宅勤務をさせてくれる会社に転職をして実績を積んだ後、自ら在宅勤務者だけの開発会社を起業して、それを実現した経験を持っています。30代前半の別の部長職の女性は、故郷の鹿児島から東京に出てきた際に、方言を直すために一人で居酒屋に通い詰めて、お店の人や常連客とひたすら話すことを繰り返したという行動力のある人でした。彼女は入社後も、会長にさえズバズバと意見を言って、社内の仕組みの効率化を進めてくれています。

このように、弊社で女性が活躍できているのには、そもそもチャレンジするマインドを持った人を採用しているというところが大きいのではないかと思います。

ーなるほど。では、そうした方々がチャレンジしやすい環境づくりで心掛けていることはありますか?

時間ではなく、成果で評価することを徹底していることだと思います。社員一人一人にはそれぞれミッションが与えられていますが、大事なのはあくまでそれをクリアすること。どうクリアするかは個人の自由と捉えています。

だから男女問わず、弊社には勤怠管理という概念がありません。子供に熱が出てすぐに帰らなければならない状況なら、それをよしとする文化がありますし、2年間の育児休暇をとったメンバーも過去にはおりました。成果で評価するというのは特別女性を意識して行っていることではないのですが、そういう意味では、女性にとっての働きやすさにもつながっているかもしれません。実際、ママさん率も非常に高いです。

私自身も先日、熱で1日会社を休ませてもらったことがありましたが、それでも仕事が問題なく回るようにしておくというのは、日頃から意識していることです。そうした前提があるからこそ安心して休めるというところはあると思うので、社員にも「自分がいなくなっても回るような仕組みを作れ」ということを常々言っています。

人材紹介という業種柄、社外の働く女性とお会いする機会もありますが、いまだにどれだけ遅くまで仕事をしていたかといったことで評価する日本の風潮が、女性の働き方を難しくしていると感じます。今後は副業が当たり前になるなど、雇用の流動化の流れもくるはずです。そうなればこれまで以上に、時間で測るとか、会社の中にいなければならないといった考えでは、成り立たなくなっていくのではないかと思います。

社員一人一人の行動源泉を満たす組織作りで、笑顔をもたらしたい

ー藤田さんご自身が仕事をする上で大切にしていることについても教えてください。

相手を喜ばせる、笑顔にするということです。私はよく4大欲求という話をします。一般的に言われるのは食欲、性欲、睡眠欲の3大欲求ですが、私は人によって違うもう1つの欲求があると思っているんです。私の場合はそれが、人を笑顔にさせたいという欲求だということ。みんなが笑顔じゃない状態がすごく嫌なんです。

では、どうしたら人は笑顔になるのか。これを言語化するのはとても難しいのですが、そのために今も脳科学や心理学について学んでいて、それを組織作りに応用しています。

お腹が空いたから食欲が出る、睡眠が足りないから睡眠欲が出るといったように、欲求というのは欠乏感から生まれます。心理学で学んだところによれば、人間の欠乏感自体は7歳くらいからずっと変わらないけれど、その埋め方はどんどん変わっていきます。そしていつの間にか埋め方の方にばかり意識が取られて、そもそも何が欠乏していたのかといったことが見えなくなりがちなのだそうです。

だから私は、社員一人一人の4つめの欲求は何か、その人の欠乏感は何か、行動源泉は何かということを探ります。何にお金を使っているか、人に対する対応の仕方はどうか、その背景にあるのは達成したいという欲求なのか、それとも知的欲求なのかといったことを見ていきます。そしてその欲求が満たされるようなミッションを振っていくのです。

そうやって社員一人一人が自分の欲求が満たされた状態になれば、その人は自然と笑顔になります。そうすれば、人を笑顔にしたいという私自身の欲求も満たされるというわけです。

そうした一人一人の欲求を探るのには、やはり対面のコミュニケーションが欠かせないと考えています。そのために、先ほど働き方は自由とお話ししましたが、毎日始業前の朝会だけは徹底していたり、月次面談やQごとの面談など、私が直接コミュニケーションをとる機会を大事にしたりしています。

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女性のキャリアを確立するのは皆さん自身だ

ー最後に、キャリア女性に対してメッセージをお願いします。

1985年に雇用機会均等法が制定されてからすでに30年以上が経過していますが、女性のキャリアというものはまだ確立していないと思うんです。だから、今を生きているキャリア女性の皆さんはもしかしたらパイオニアであって、皆さん自身の働きやキャリアが後世につながっていくのかもしれません。キャリアコンサルティングに身を置く者としては、皆さんにそうした思いを持って仕事に取り組んでいただけると嬉しく思います。

というのも、例えば日本におけるWebエンジニアの歴史は90年代後半に始まってまだ日が浅いですが、最近になって様々なキャリアの可能性が見えてきているように思います。これは、市場自体が伸びているので、そこで働くエンジニアの方々が急速に経験値を積めたこと、そしてそうした人の中から影響力を持つエンジニアの方が現れて、自らの人生を通してロールモデルを示してきたからこそでしょう。

だから皆さん自身が活躍することで、後に続く方々のロールモデルとなってもらいたい。私たちキャリアコンサルタントも、そのための考え方というものをもっともっと発信していかなければならないという思いでいます。